【税理士監修】個人や個人事業主が、資金調達する7つの方法と知っておきたいポイント
2023年06月08日
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個人や個人事業主にとって、資金調達はビジネスをスタートし、成功させるための重要なファクターです。しかし、ほとんどの場合、資金調達の方法や種類を知らないままに取り組まれるものと思います。そこで、どのような方法があり、どのようにして資金調達を行うかについて、この記事で解説します。
個人や個人事業主が、資金調達方法をするための7つの方法
個人や個人事業主が資金調達する方法は、さまざまな方法が考えられます。具体的には、あまりおススメしないものも含まれますが、以下の7つの方法があります。
1.親族・知人から借り入れをする
2.金融機関から借り入れをする
3.出資を受ける
4.クラウドファンディングに挑戦する
5.資産の現金化(不動産、債権(ファクタリング)、株式などの有価証券)
6.ビジネスローンや消費者金融(積極的にはおススメしません)
7.コロナなどにより、経済危機が発生した場合の特別な制度を活用する
本記事では、よくある質問「資金調達は、税理士などの専門家が必要か?」と併せて、上記の7つの方法を、ひとつずつ解説をいたします。
※上記の7つの他に、補助金や助成金を活用して資金調達をする方法もあります。こちらについては、以下の記事をご参照ください
【税理士監修】起業・創業時に使える補助金や助成金による資金調達
個人や個人事業主が、資金調達をする場合、税理士などの専門家は必要?
結論からお伝えすると、必須ではありませんが、税理士の先生などに相談はした方がいいでしょう。
なぜならば、起業などに向けて、資金調達をしたい局面というのは、人生の中でも大事な局面だと言えます。また、金融機関などからの資金調達をする場合、失敗後、再チャレンジもできますが、再チャレンジには、一定の期間が必要になるケースが多いと言えます。こうなると、事業計画自体に大きな遅れが生じるため、チャンスを逃してしまう可能性もあります。
従って、税理士などの専門家への相談はした方がいいと言えるでしょう。
また、例えば、税理士の先生に相談した場合、次のようなメリットも考えられます。
・融資に関する相談と適格なアドバイス
・資金調達額の最大化に関するアドバイス
・融資のみならず、補助金・助成金などの他の制度の紹介や専門家の紹介
・融資面談に向けた資料づくりや当日に向けてのアドバイス
・事業計画書の作成サポートや、的確なアドバイス
・調達後の税務や、次の調達に向けたサポート
・無駄な徴税にあわない最適な調達方法の提案
また、税理士の先生に資金調達を依頼する場合、報酬は別途必要になることが通常ですが、その後、その依頼先の先生と顧問契約を締結する場合などは、月額顧問料に含まれる場合や、割引になるケースもあるようですので、事前に確認すると良いでしょう。
その他、よくある質問として、「日本政策金融公庫からの調達の場合であっても、税理士などに依頼したほうがいいか?」という質問をよくいただきますが、こちらもチャンスを逃したくない場合は、相談された方がいいと言えるでしょう。
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個人や個人事業主が親族・知人から資金調達をする具体的な方法
親族・知人からの資金調達(借入)をする場合、メリットとデメリットがありますので、まずは、その点を良く認識してから判断する必要があります。
メリット
・利息がないまたは利率が低いケースが多い
・手続きや書面など、手間が少ない
・比較的、着金まで早い
デメリット:
・返済できない場合、人間関係にひびが入る
・調達額が低い傾向にある
ビジネスは簡単ではありません。万が一、返済できない場合は、お金を貸してくれた相手に大きな損害を与えてしまう可能性もあります。そのような場合の人間関係の問題は、下手をすると一生の問題になりかねませんので、注意が必要です。
また、親族や知人から資金調達をする場合であっても、事業計画をしっかり書く、契約書などを準備するといったこともした方がいいでしょう。
事業計画を作成し、説明し、納得の上で、お金を出してもらうと後々のトラブルに発展しづらくなります。また、トラブル防止の観点から契約書(金銭消費貸借契約書)を締結しておくとよいでしょう。
契約書を作っておくことで、親族から借りたお金を、税務署などから、贈与と判断され贈与税を徴収されてしまうリスクもヘッジすることができます。
親族・知人から、借入れをする方法のほか、出資をしてもらう方法などもありますが、こちらは後述します。
個人や個人事業主が金融機関から資金調達をする場合に知っておきたいポイント
個人や個人事業主が金融機関から資金調達をする場合、どこから借りるのか?で難易度などが変わってきます。
具体的な金融機関など
・日本政策金融公庫 難易度:低~中
・信用保証協会の保証付融資/制度融資 難易度:低~中
・信用金庫/信用金庫 難易度:中~高
・地方銀行/都市銀行 難易度:高
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国の政策の下、民間金融機関の補完することを旨とした政府系の金融機関です。
融資実行までのスピードが比較的早く、他の金融機関からの資金調達と比較すると、比較的難易度は低いとされています。ただし、難易度が比較的低いといっても、自己資金はある程度あるのか?(例:自己資金は3割以上が望ましい。)、適切な事業計画が書けているのか?信用情報に問題がないか?(クレジットカードなどの信用情報がブラックになっていないか?水道光熱費や税金で未払や支払いの遅れが発生していないか?など)実務経験(6年以上の経験があるのが望ましい。)などはあるか?といったことは、審査されますので、準備などをしておくと良いでしょう。
なお、担保や保証人が不要なものなど、さまざまなプランもあります。
信用保証協会の保証付融資/制度融資
信用保証協会は、中小企業・小規模事業者が金融機関から事業資金を調達する際に、保証人となって融資を受けやすくなるようサポートしている公的機関です。
この仕組みを、「保証付融資」をいいますが、保証付融資では、借主の返済が滞ってしまった場合に、借主に代わって信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」をしてくれるため、金融機関の審査が通りやすくなります。
制度融資とは、自治体と金融機関と信用保証協会が連携して実行する融資制度です。各地方自治体が独自に制度融資を実施しています。保証協会が保証をしてくれるので、制度融資も、比較的資金調達のハードルは低いと言えるでしょう。
信用金庫/信用金庫
信用金庫・信用組合は、地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関です。利益第一主義というより、会員すなわち地域社会の利益が優先される傾向があります。
信用金庫と信用組合は、上記のとおり、似た性格の組織ですが、根拠法や会員(組合員)資格などにやや違いがあります。
信用金庫・信用組合の創業時の融資限度額は、1000万円程度になるケースが多く、審査結果が出るまでに2か月~3か月程度かかることが多いです。
基本的には、上述の制度融資(保証協会の保証付きの融資)を活用すると良いでしょう。
地方銀行/都市銀行
銀行融資は、法人でないと利用できないイメージがあるかもしれませんが、個人事業主にも融資を行っている銀行はあります。
ただし、これまでにご紹介してきた、日本政策金融公庫や、制度融資を活用した場合と比較すると、審査基準は比較的厳しくなりがちです。
これから起業をする個人や、取引実績の少ない個人事業主の場合は、他の方法を活用した方がいいケースが多いと言えるでしょう。
銀行融資を活用するメリットのひとつは、比較的限度額が大きいことです。
ある程度、取引実績があるのであれば、しっかりした事業計画や資金使途、その他、必要書類を提出して銀行融資にチャレンジしても良いでしょう。
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個人や個人事業主が出資によって資金調達をする場合に知っておきたいポイント
個人や個人事業主が資金調達をする方法としては、出資という方法もあります。
出資によって、資金調達できた場合の大きな特長のひとつは、法的には、返済義務がないという点です。
代表的なメリットとデメリットを確認してみましょう。
出資によって資金調達した場合のメリット
・法的には返済義務がない
・(経験豊富な投資家な場合)投資家からのアドバイスが期待できる
・(経験豊富な投資家な場合)投資家のネットワークを借りられる可能性がある
出資によって資金調達した場合のデメリット
・利益の一部を、配当などとして還元する必要がある
・株主から、経営に対して、口出しされる可能性がある
・(法的には返済義務はないが)同義的な責任を求められる可能性がある
次に、どのようなところから出資を得られる可能性があるかを確認してみましょう。
出資してくれる可能性のある相手
・親族や友人
・エンジェル投資家
・VC(ベンチャーキャピタル)/CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)
親族や友人・知人
自分の身の回りの方に、出資を依頼するという方法です。メリットデメリットでご説明したとおり、返還義務がないことが大きなメリットのひとつです。一方、この点は、相手にもよく説明しておくことが重要です。中には、お金を貸す契約(金銭消費貸借契約)と、出資契約(投資契約)の違いを理解していない可能性もありますので、契約書などで、明記しておくと良いでしょう。
また、契約書には、議決権割合なども記載しておくとよいでしょう。
エンジェル投資
エンジェル投資を行っている方がいます。エンジェル投資をしている方は、多くの場合、IPO経験や、自社のバイアウト経験のある経営者などです。
つまり、経営のプロが、自分のお金を増やす手段や、若者や、素晴らしいアイディアを応援する意味で投資しています。
エンジェル投資家と知り合うこと自体にもハードルがあり、もちろん出資してもらうことにもハードルはありますが、出資後は、仲間として、応援してくれるケースもあります。
VC(ベンチャーキャピタル)/CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)
VC(Venture Capital)とは、未上場のスタートアップなどに対して、出資をすることで株式を取得し、将来、そのスタートアップが上場した場合や、企業価値を高めてバイアウトした場合のキャピタルゲイン(保有している資産を売却することによって得られる売買差益)を狙う投資会社や投資ファンドを指します。
CVC(Corporate Venture Capital)は、事業会社が会社の事業の一部分として運営する投資会社や投資ファンドです。その企業によって考え方は違いますが、比較的自社事業とのシナジーを求められるケースが多いでしょう。
親族や友人、エンジェル投資家、VC/CVC、いずれと取引をする場合であっても、投資契約書は締結しておくと良いでしょう。
シード期の投資契約としては、J-KISS(J-KISS型新株予約権)などが有名です。
投資家や投資機関によって、支援方法は大きく違いがあります。ハンズオン(積極支援)、ハンズオフ(支援は非積極的)、ハンズイフ(そのときどきに応じ)と、大別すると3パターンがあります。このあたりも事前に確認しておくと良いでしょう。
また、エンジェル税制と言って、スタートアップへ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度もありますので、出資してくれる相手が、個人投資家の場合は、エンジェル税制の案内もしておくと成功確率を上げらる可能性もあります。
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個人や個人事業主がクラウドファンディングによって資金調達をする場合に知っておきたいこと
クラウドファンディングとは、インターネット(主にSNS)を通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法です。支援者の支持を得られれば、資金調達が可能になります。
昨今では、さまざまな種類のクラウドファンディングがあり、多くのサービスが存在します。代表的なものとしては、購入型、寄付型、融資型、株式投資型、ファンド型、ふるさと納税型などがあります。
クラウドファンディングのメリットは、資金調達のみならず、宣伝効果(購入してくれた人が、そのまま宣伝してくれることもある)や、ファン化(商品開発の背景に共感し、ファンになってくれるケースもある)といった副次的な効果も見込むことができます。
ただし、どこまでリーチできるかは、本人の交友関係の広さ(SNSで繋がっている相手の数や、どのような相手とつながっているか?メールをどれくらいの人々に送れるか?)に依存するケースが多いと言えます。
良い点が、たくさんあるクラウドファンディングでの資金調達ですが、決して甘いものではありません。
例えば、全世界ベースで2019年時点の調査をしたところ、その成功率は22.4%程度でした。また、多くの人に一度に商品を知られるということは特許や商標を侵害される恐れもあるということです。事前にリスクについても理解したうえで、チャレンジすることが重要です。
個人や個人事業主が資産の現金化により、資金調達をする具体的な方法
個人や個人事業主が、自分の所有する資産を現金化することで、資金調達を行うという方法もあります。
具体的には、不動産や、株式などの有価証券、預貯金や保険などの金融商品、車や家具などの動産を売却したり、担保にしたりすることで、現金を調達します。
不動産は、高額で、比較的安定した価値を持つ資産です。ただし、流動性が低く(すぐに現金化しづらい)という側面や、売却時期によっては購入時よりも低い金額で手放す必要があるケースもあります。
有価証券とは、株式や債券などの証券を指します。有価証券は、市場で取引されるために流動性が高く、短期に現金化できるという特徴があります。
保険も金融商品のひとつです。一定期間経過後に満期となり現金化されるものもありますが、その前に、解約することで、現金化するという方法があります。
その他、動産(車や家具、ブランド品など)を売却し、現金化するという方法もあります。
また、最近では、個人事業主も、ファクタリングを活用することもできます。ファクタリングとは、売掛債権の現金化サービスです。手元資金が乏しい場合に、自社が持っている債権を契約書や請求書で証明し、ファクタリング会社から資金調達をすることができます。
ただし、会社によって、面談方法や請求方法、利用限度額、手数料、現金化までのスピードなどが違うため、事前によく確認してから利用すると良いでしょう。
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個人や個人事業主が、ビジネスローンなどで資金調達をすることは、できれば避ける
ビジネスローンとは民間の金融機関や消費者金融が提供する融資サービスです。
個人や個人事業主がビジネスローンなどで資金調達をすることは、できれば避けるべきです。なぜなら、ビジネスローンは高金利で返済負担が大きく、資金繰りに影響するケースが多いからです。起業段階で、ビジネスローンを検討している場合は、そんなに高金利で慌てて借りてやるほどの事業なのかどうか?その成功確率はどの程度なのか?を、いったん落ち着いて考えて自己資金を貯めていく選択肢も見直しても良いかもしれません。
また、ビジネスローンを借りた状態ですと金融機関の融資申請は先ず通りません。
本当にまとまった金額を借りたいとなった時に足枷になる可能性があります。
とはいえ、事業を行っていると、どうしても資金が必要になるケースもあることは事実です。
数十万円〜百数万円の資金が、すぐに必要という場合には、比較的利用しやすい仕組みではありますが、積極的に活用することはあまりおすすめしません。
個人や個人事業主が、経済危機が発生時(コロナなど)などに使えた資金調達方法
コロナなどにより経済危機が発生した場合には、特別な制度が出てくるケースがあり、それらを活用するという方法があります。
例えば、日本政策金融公庫は、新型コロナウイルス感染症特別貸付(新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に業況悪化を来している個人や個人事業主を対象とした貸付)などを行っていました。
また、政府も、生活困窮者自立支援金、飲食店向けの協力金や飲食店の取引先などへの支援金などさまざまな施策を打ち出していました。
このように大きく環境が変化した場合は、その支援策を探してみることも検討してみると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?資金調達は、人間関係やお金の使い方など、これまでの実績を問われる場面です。従って、将来の調達に向けて、できるだけ準備をしておけると良いと言えるでしょう。
また、資金に余裕があるならば専門家に頼ると、よりよい結果を得られる可能性が高まります。相談も、専門家への相談も、できるだけ早い段階でできると、成功確率は高くなりますので、検討してみてください。
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この記事の監修者
峯クラウド会計事務所 代表税理士 峯 英之
キャッシュフローコーチ・融資コンサルタント
会計事務所と税理士法人で8年間の実務経験。税理士法人では、中小企業の税務サポート、上場会社の連結納税支援、信用金庫の相続税相談員などを担当。 キャッシュフローコーチ・融資コンサルタントとして創業期の経営者の資金調達や、キャッシュフロー改善サポートなども行う。
税法の中では、特に法人税務に強く、代表的な例としては、税法に無いスキームを構築し実行し約21,000,000円の節税に成功したケースや、税務調査で約33,000,000円の納税額を減らしたケースなどがある。
個人事業主と一人会社のサポートに特化し、マイクロ法人設立や副業法人設立に力を入れている。
この記事の執筆者
unite株式会社代表取締役 角田 行紀
起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。