【税理士監修】バーチャルオフィスの料金相場と、最適なプランの選び方
2023年10月24日
※こちらの記事は長谷工コミュニティが運営するビステーションのプロモーションを含みます。
在宅での働き方も一般的になり、オフィス形態についても、バーチャルオフィスという形態を選択する企業や起業家も増えています。
一方、バーチャルオフィスサービスも、さまざまな企業が、さまざまなサービスを提供しており、地域、提供業者、サービス内容、契約期間、品質など多くの種類があり、複雑化しています。そこで、この記事では、バーチャルオフィスの選び方を、料金相場から逆引きし、適切なプランを見つけるためのポイントをご紹介いたします。
バーチャルオフィスの料金相場は、どのくらい?
バーチャルオフィスの料金相場は、月額数百円~1万円前後のものが多いといえます。また、なかには超一等地ビルなどで月額2、3万円程度必要な施設もあるようです。
価格は、大きくわけると、
・そのバーチャルオフィスの所在地
・会議室利用など、リアルのサービスが利用できるか
・電話取次サービスが利用できるか
・郵便物の預かり/郵便転送サービスなどが利用できるか
・法人登記ができるか
・受付スタッフなどが常駐し、来客対応ができるか
など、なにができるのか?によって変わってきます。
従って、どこの地域にバーチャルオフィスを構えたいのか?
また、どのようなサービスが必要なのかについて、検討することが、まずは重要であるといえるでしょう。
月額3,300円から利用できる長谷工コミュニティ運営のバーチャルオフィス
東京都港区のバーチャルオフィスの料金相場は?
港区は都心3区のひとつであり、芝、麻布、赤坂、高輪、芝浦・港南、5つのエリアに分かれています。
ビジネス街としては、芝エリアでは、新橋や浜松町、麻布エリアでは、六本木、赤坂エリアでは、赤坂、高輪エリアでは白金や高輪、芝浦・港南エリアには、品川駅もあります。
新橋、浜松町エリアは、日本国内有数のビジネス街であると言えるでしょう。
港区のバーチャルオフィスの料金相場は、全国平均と比較すると、やや高くなる傾向があり、月額5,000円前後が多く、高いところでは月額2、3万円前後まで、やや幅があると言えるでしょう。
新横浜駅のバーチャルオフィスの料金相場は?
新横浜駅は、一大ターミナル駅であり、東海道新幹線・JR横浜線・横浜市営地下鉄ブルーラインなどが乗り入れるビジネス街です。
特に、新横浜駅の北口は、オフィスビルなどが多く、建ち並びます。
新幹線の駅もあることから、地方からの出張や、地方への出張時の拠点としても利用されることも少なくないエリアです。
新横浜駅周辺のバーチャルオフィスは、月額4000円前後が多く、高めの場所では月額数万円といったプランもあるようです。各社、さまざまなサービスを提供しており、自社の利用イメージにあったバーチャルオフィスを吟味する必要があると言えるでしょう。
価格帯別、バーチャルオフィスのサービス内容の傾向とは?
冒頭、ご紹介したとおり、バーチャルオフィスのサービスは、各社、さまざまで、価格帯もサービス内容も、施設によって様々です。以下に、価格帯別のサービスの特長を整理しておりますので、ご紹介いたします。
月額3,000円以下のバーチャルオフィスの傾向
この価格帯は、比較的安価な価格帯といえます。ただし、住所利用のみしかできず、法人登記ができない、電話取次サービスなど、やりたいことができないという施設もあるようです。
ご自身に必要なサービスが事前に整理できており、必要最低限のサービスで充分という方にマッチしやすいと言えるでしょう。
月額3,001円~7000円のバーチャルオフィスの傾向
この価格帯では、充実したプランが多い印象です。例えば、法人登記などができるようになるのは、5,000円以上のプランが多い印象です。また、受付スタッフが常駐している施設もあり、このような施設では、来客対応までお願いできるため、急な来客があっても安心です。
個人事業主でも、法人でも、比較的、どのようなニーズにも対応できるのは、この価格帯のサービスからという印象です。
月額7,001円以上のバーチャルオフィスの傾向
この価格帯では、バーチャルオフィスの費用としてはやや高額な部類に入ります。法人登記や受付スタッフの常駐などに加え、そのバーチャルオフィスがあるビルや建物自体が、地域の有名なオフィスビルなどであることが多いです。
有名なオフィスビルの住所を利用したい場合は、この価格帯のサービスがあうかもしれません。
月額3,300円から利用できる長谷工コミュニティ運営のバーチャルオフィス
バーチャルオフィスの利用シーンごとのバーチャルオフィスの選び方
ここまでで、バーチャルオフィス側の特長をご紹介してきましたが、今度は、利用者の方の利用シーンから、どのようなバーチャルオフィスを選択すべきかを整理してみましょう。
利用シーン①対面で、顧客などと会うことがあるのか否か。
対面で顧客とお会いする可能性がある場合、そもそもの立地を工夫する必要があります。
例えば、郊外にあるバーチャルオフィスの場合、対面でのミーティングがしづらくなる可能性もあるため、ビジネス街、できれば駅近くにあるバーチャルオフィスを選択すると良いでしょう。
一方、EC事業などで、顧客や取引先と会う可能性がないという方であれば、そこまでビジネス街や駅近にこだわる必要はないかもしれません。
利用シーン②法人の登記場所として利用する必要性や予定があるかどうか。
起業したばかりの際は、法人化をするか決まっていないことも少なくないかと思います。一般的にいえば、売上が800万円前後ある場合は、節税観点からも法人化したほうが良いと言われます。
また、法人化するか否かの判断基準として、もうひとつ大きいのは、信用性・信頼性の観点です。法人化していることは、それだけで信用につながります。例えば、大手企業などの場合、個人事業主とは取引をしないということもあるようです。
従って、BtoBのお仕事が多い場合は、将来の法人化の可能性も含め、法人登記ができるバーチャルオフィスを選択しておくと良いでしょう。
利用シーン③女性など、プライバシー対策をしたいか?来客の可能性はあるか?
バーチャルオフィスを利用する方の中には、女性起業家など、プライバシーを気にする方が少なくありません。
名刺に、自宅の住所を書きたくないということが大きな理由のひとつのようです。
また、一人でオフィスを借りた場合、不審者が来てしまったら・・・。と考える方もいらっしゃるようで、バーチャルオフィスのみならず、コワーキングスペースや、レンタルオフィスを検討される方もいらっしゃいます。
このような場合、受付常駐型のバーチャルオフィスなどを選択しておくと、安心感があり、良いでしょう。
利用シーン④職場/作業場所/商談場所としても利用したい場合
バーチャルオフィスは、基本的に、あくまでバーチャルですので、リアルの場所はありません。
ただし、レンタルオフィスやコワーキングスペースを併設しているタイプのバーチャルオフィスにおいては、リアルの場所があり、時間貸ししているケースがあります。
従って、普段は自宅や近隣のカフェなどを仕事場として利用するが、たまに仕事をする場所としても使いたい、顧客との商談で使いたいという場合には、レンタルオフィスやコワーキングスペースを併設しているタイプのバーチャルオフィスを選択すると良いでしょう。
月額3,300円から利用できる長谷工コミュニティ運営のバーチャルオフィス
バーチャルオフィスの利用において注意が必要な業種
一部の業種においては、バーチャルオフィスを主たる事務所として利用することが、法律などでできないケースがありますので、ご紹介します。
・人材派遣業・職業紹介業
・不動産業・建設業
・古物商
・廃棄物処理業
・金融商品取引業
・士業(税理士、司法書士、行政書士、弁護士など)
人材派遣業・職業紹介業
人材紹介業(有料職業紹介事業)は、許認可型の事業ですが、その許可基準の1つに、事務所要件というものがあります。
この基準に反してしまうため、人材紹介業の方の本拠地として、バーチャルオフィスを利用することはできません。
なお、具体的な基準としては、「20㎡以上の面積を有していること」、(近隣に風俗店がないなど)「適切な場所に事務所があること」といった基準があります。
結論としては、人材派遣業・職業紹介業がバーチャルオフィスを主たる事務所として利用するのは難しいですが、レンタルオフィスなどで要件を満たす基準の設備(パーテーションで区切られたような簡易的なものでなく、きちんと個室があるなど)であれば、主たる事務所を置くことができる可能性はあります。
不動産業・建設業
不動産業(宅建業者)も、許認可制の業種です。宅建業も、事務所要件があり、バーチャルオフィスを主たる事務所として利用することはできません。
具体的には、標識の掲示や帳簿の備付などが必要とされておりますが、バーチャルオフィスの場合、具体的な場所がありませんので、要件を満たすことができず、主たる事務所として利用することはできません。
結論としては、不動産業・建設業がバーチャルオフィスを主たる事務所として利用するのは難しいですが、レンタルオフィスなどで要件を満たす基準の設備(パーテーションで区切られたような簡易的なものでなく、きちんと個室があるなど)であれば、主たる事務所を置くことができる可能性はあります。
古物商
古物商は、管轄する警察署に古物業許可申請する必要のある許認可制の事業です。
古物商においても、営業所の要件が明確に決まっており、「古物の保管をしている」、「事業の実態を確認できる営業所」などが必要となります。
従って、バーチャルオフィスの場合は、営業所要件を満たすことができず、主たる事務所として利用することはできません。
結論としては、古物商がバーチャルオフィスを主たる事務所として利用するのは難しいですが、レンタルオフィスなどで要件を満たす基準の設備(パーテーションで区切られたような簡易的なものでなく、きちんと個室があるなど)であれば、主たる事務所を置くことができる可能性はあります。
廃棄物処理業
産業廃棄物等の処理業は、都道府県や政令指定都市における許可を受ける必要がある許認可事業です。
産廃業者として認められるためには、施設や能力、財務状況などの経営状況についての確認があり、この審査において、バーチャルオフィスを主たる事務所として利用している場合許認可が得られないということになってしまいます。
金融商品取引業
投資運用業や投資助言・代理業などの金融商品取引業者も、許認可が必要な業種です。財務局・財務事務所への登録の際に、営業所の設置や標識の掲示義務、事務所図面の提出義務などがあり、バーチャルオフィスは不可となってしまいます。
結論としては、金融商品取引業者がバーチャルオフィスを主たる事務所として利用するのは難しいですが、レンタルオフィスなどで要件を満たす基準の設備(パーテーションで区切られたような簡易的なものでなく、きちんと個室があるなど)であれば、主たる事務所を置くことができる可能性はあります。
士業(税理士、司法書士、行政書士、弁護士など)
士業の先生方の場合、日本税理士連合会や、日本弁護士連合会などが事務所要件を定めており、それぞれに異なりますが、税理士、司法書士、行政書士、弁護士など、多くの資格で、各連合会などが定めた事務所要件を満たすことができず、基本的にはバーチャルオフィスを主たる事務所としては利用できません。
しかし、公認会計士においては、特に制限がありませんので、バーチャルオフィスを主たる事務所として利用することが可能です。
また、レンタルオフィスなどで要件を満たす基準の設備(パーテーションで区切られたような簡易的なものでなく、きちんと個室があるなど)であれば、士業の先生でも、主たる事務所を置くことができる可能性はあります。
その他、どの業種でも、バーチャルオフィスを選ぶ際、気を付けたい注意点
金額が安く、気軽に使え利便性の高い、バーチャルオフィスですが事前に理解しておきたい点、気を付けたい点がいくつかありますので、ご紹介させていただきます。
◎事前に理解・確認が必要なこと
バーチャルオフィスの場合、事務所と別に、執務スペースを用意する必要がある
当然ながら、リアルの場所はないため、ご自宅やカフェなど執務スペースは別に必要となります。ただし、バーチャルオフィス提供事業者の中でも、コワーキングスペースや、レンタルオフィスを提供している事業者の場合は、執務スペースも時間単位で借りられるケースがあります。
郵便物の受け取りが遅れる可能性がある
バーチャルオフィスでは、郵送物の転送サービスを実施しているケースがありますが、一週間分や一か月分など、ある程度まとめての転送となるケースが多いようです。従って、実際の受け取りは少し遅れが発生することになってしまいます。
また、転送をしていないところもあるようですので、この点は注意が必要です。
他の事業者と登記先住所や名刺に記載する住所が同じになる
複数事業者で、ひとつの場所を共有する仕組みになるため、同じ住所を記載することは必然的に避けられません。この点が気になる場合は、バーチャルオフィス、コワーキングスペース、レンタルオフィスなどの利用は難しい可能性があります。
同じ住所に同一の商号があった場合、その商号が使えない
同一住所での同一商号は利用できませんので、注意が必要です。
業種によっては、主たる事務所として利用できないことがある
上述したとおり、人材派遣業・職業紹介業、不動産業・建設業、古物商、廃棄物処理業、金融商品取引業、士業(税理士、司法書士、行政書士、弁護士など)などについては、バーチャルオフィスは、主たる事務所として利用できないケースがあるため、これから取り組む業種が、バーチャルオフィスが利用できる業種なのか?は、監督官庁などに確認すると良いでしょう。
施設によっては、銀行融資などで不利になってしまうケースがある
実は、数年前にバーチャルオフィスを使った金融に関する事件が起きてしまった経緯があります。
その影響もあり、施設によっては、金融機関が嫌がるというケースがあります。このような施設は、入居時の審査をしない施設が多いです。銀行融資を併せて検討する場合は、入居審査をきちんと実施している施設や、大手企業が経営している施設の方が安心でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?バーチャルオフィスの料金相場をご紹介したうえで、それぞれの特長と、利用シーン別に、最適なプランの選び方をご紹介させていただきました。
安価で便利なバーチャルオフィスですが、うまく選ばないと、(例えば、郵送物の転送や、独自の固定電話番号の取得などができないなど)ご自身のニーズにあったサービスを受けられないケースもありますので、よく調べ、比較検討のうえ、選ぶと良いでしょう。
月額3,300円から利用できる長谷工コミュニティ運営のバーチャルオフィス
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この記事の監修者
NS&パートナーズ会計事務所 税理士 鈴木 良洋
鈴木良洋 NS&パートナーズ会計事務所 代表税理士
経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)
1983年千葉県生まれ。都内の税理士事務所に14年勤務後、2020年にNS&パートナーズ会計事務所を開業。
様々な業種、規模の中小企業を顧問先に抱え経営の支援をしている。補助金を活用した設備投資の資金調達支援や、税額控除を活用した節税提案を得意としている。
また、個人事業主の起業・開業サポート、法人の設立サポートなど、これからの事業をおこす起業家のサポートにも積極的に取り組む。
この記事の執筆者
unite株式会社代表取締役 角田 行紀
起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。