【税理士監修】脱サラとは?失敗せずに、起業するには何をするべきかのポイント解説
2024年09月26日
※こちらの記事は長谷工コミュニティが運営するビステーションのプロモーションを含みます。
脱サラして起業したいけど、不安なあなたへ。 起業したいと考えた場合、脱サラをする前に準備しておくべきポイントなどがあります。多くの起業家を見てきた視点から、失敗せずに起業するためのポイントと、成功事例などをご紹介させていただきます。
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脱サラとは?ここ最近は、どのような脱サラの方法がある?
「脱サラ」とは、「脱サラリーマン」の略語です。会社から独立し、フリーランスや会社を起業する方を指す言葉です。
少し前までは、完全に会社を辞めて独立・起業する方が多かった印象ですが、ここ数年は、社会全体として副業を認める風潮がでてきていることなどから、副業として独立するケースも増えています。
例えば、中小企業庁や日本政策金融公庫では、1週間のうち、事業にあてる時間が35時間未満の起業家を、パートタイム起業家と定義し、調査しています。
起業した後の事業活動としても、副業として独立する方法のほか、フリーランスとして個人事業主になる方、社員を雇用せずにひとり会社として事業を行いつつ業務委託の方を活用する方、当初から複数人の組織をつくり起業する方など、多様な働き方があることがみてとれます。
起業後10年の生存率1割って本当⁉脱サラ起業が失敗してしまう要因とは?
巷には、起業後10年の生存率は1割未満であるといった情報が出ていますが、データを確認すると疑問が残ります。10年後生存率が1割未満と記載しているページには、出所はわかりませんが、概ね企業の生存率は、1年後:40%、5年後:15%、10年後:6%、20年後:0.4%といった数字を根拠に、起業して10年たつと、9割以上が倒産や廃業をしてしまうという情報があります。
一方で、政府が出している信頼できるデータとして中小企業庁が発表しているデータ(起業後の企業生存率の国際比較)では、企業生存率は1年後:95.3%、2年後:91.5%、3年後:88.1%、4年後:84.8%、5年後:81.7%というデータがあります。
※2017年のデータと少し古く、帝国データバンクのデータベースであることから、小規模事業者のデータが反映されていないという点は注意が必要です。
後者のデータを基に考えれば、5年後に事業をたたんでしまう割合は、約20%程度ですので、起業を悲観的に捉える必要は、そこまでないと考えられます。
では、脱サラ起業が失敗してしまう理由はなんでしょうか?
ここでは、脱サラ起業に限らず、起業した方が、どのような課題を感じているかを確認してみましょう。
日本政策金融公庫が、2023年度新規開業実態調査として発表している資料が参考になります。
出展:「2023年度新規開業実態調査」日本政策金融公庫総合研究所
この調査では、開業時に苦労したことと、現在苦労していることの2つに分けてアンケートを実施しています。
開業時に苦労したことは、「資金繰り、資金調達」(59.6%)、「顧客・販路の開拓」(48.5%)、「財務・税務・法務に関する知識の不足」(37.5%)が多くなっています。
一方で、現在苦労していることは、「顧客・販路の開拓」(49.5%)、「資金繰り、資金調達」(37.0%)、「財務・税務・法務に関する知識の不足」(32.2%)が多くなっています。
また、開業時と比べて、「従業員の確保」や「従業員教育、人材育成」といった人材不足を背景とした、人材に関連する項目の上昇が目立つようになっています。
「財務・税務・法務に関する知識の不足」は、税理士や会計士、弁護士や司法書士、行政書士、社会保険労務士などの信頼できる士業専門家に相談依頼できれば、一定以上解決できる問題ですので、月額数万円の費用を確保できれば、クリアできる課題といえるでしょう。
また、「資金繰り、資金調達」についても、税理士や会計士などの専門家に相談することで解決できる可能性は高くなるといえます。
従って、脱サラ起業が失敗する最も大きな要因としては、「顧客・販路の開拓」に関する準備と実行力が最も大きな要因であると言えるでしょう。
脱サラ起業の失敗事例は?
脱サラして起業した人の失敗事例は、インターネット上でも手軽に探すことができます。
2chや、ナンJといった掲示板サイトでは、なまなましい体験談も掲載されていることから、参考にしたいという方もいらっしゃるようです。
上記のサイトには、例えば
・脱サラして、居酒屋を開店するもわずか一年で閉店してしまった
・脱サラして、洋食屋開いたけどお客様がこない
・脱サラして、そば屋を開いたけど…
・脱サラしてYouTuber始めたけれど…
といった起業したけれど、失敗してしまった/失敗しそうという体験談的事例や、それに対するネット上の反応などが見られます。
また、脱サラに関する書籍なども、たくさん販売されていますので、参考になる失敗事例なども参照できるものがあるでしょう。
脱サラして失敗してしまう方の共通点としては、
・飲食店を開業したが、お客さんがこない
・営業先を開拓できない
・アポがとれても営業がうまくいかない
などの特長があり、やはり、先ほどの日本政策金融公庫のアンケート調査結果と同様に、「顧客・販路の開拓」に関する課題が多いように感じます。
脱サラ起業の失敗を防ぐには?事例から読み解く具体的な対策とは?
では、脱サラ後の起業で失敗しないようにするには、どのようにすればよいのでしょうか?
先ほど、ご紹介した日本政策金融公庫のアンケートを深堀して考えてみましょう。
ご紹介したとおり、開業前・開業後に課題となる三大要因は以下の3点です。
「財務・税務・法務に関する知識の不足」
「資金繰り、資金調達」
「顧客・販路の開拓」
「財務・税務・法務に関する知識の不足」について、関連する課題としては、開業時の手続きと、開業後の税金の支払や従業員との労働トラブル、取引先の未払いなどが、比較的多く発生する課題と言えるでしょう。
開業手続きについては、税理士や司法書士行政書士などの専門家にアウトソースしてしまう方法が考えられ、20~30万円前後の金額で解決できます。
また、税金についても、税理士に依頼してしまえば、月額数万円で税務顧問が依頼できます。また、相談・依頼する税理士によっては、月次決算など、より細かなサポートをしているケースもありますので、相談してみると、資金繰りの問題も見える化することができるでしょう。
また、従業員との労務問題については、弁護士や社会保険労務士が頼りになります。トラブルを防止するためには、就業規則などを整備しておき、将来的なトラブルに備えておくと良いでしょう。
未払問題に関しては、取引先の事前チェックと、毎月の確認が必要となります。
未払問題は、間を空けてしまうと、解決できる可能性が低くなりますので、即時に対処していくことが必要です。特に、取引先が小規模事業者である場合には、注意が必要です。
「資金繰り、資金調達」の問題は、起業時においては、資金調達がポイントとなります。この成否をわけるポイントは、自己資金の準備です。
また、多くは日本政策金融公庫や信金、銀行などの金融機関へ融資の相談をすることになると思います。このような資金調達に関する問題は、こちらの記事が参考になるでしょう。
【税理士監修】個人や個人事業主が、資金調達する7つの方法と知っておきたいポイント
資金繰りに関しては、事業計画をつくり、予実管理をしっかりと行うと良いでしょう。
予実管理とは、経営目標などで設定した予算に対して実績がどの程度クリアできているのかを管理する手法です。
これが社内でできない場合は、税理士などに相談する方法もあります。
また、資金繰りの問題を予防するには、固定費を下げておくという方法が効果的です。事業を行う際に必要となる固定費のうち、大きくなりがちなのは家賃です。
以前は、事務所を賃貸して使う方法しかありませんでしたが、最近では、シェアオフィスを活用するという方法もあります。
シェアオフィスは、ひとつの場所を、複数の企業などで利用する方法で、仕切りのある部屋を占有して使えるレンタルスペース、大きな机などがあり好きな場所を共有して利用できるコワーキングスペース、原則、場所の利用はできないものの郵送先の会社住所として活用できるほか、場所によっては会社登記も可能なヴァーチャルオフィスなどがあります。
いずれの方法も、毎月低額で必要となる家賃を数万円~数十万円と大幅に圧縮できるため、資金繰りの改善に効果的です。シェアオフィスについては、以下の記事も参考になるでしょう。
シェアオフィスとは?具体的な使い方や、メリットやデメリット、選び方を解説
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「顧客・販路の開拓」の課題対策として、ぜひ知っておいていただきたいのは、マーケティングファネルという、フレームワークです。
マーケティングファネルの中にも、いくつか種類がありますが、有名なのは、AIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)といった考え方です。
AIDMAは、
・その製品の存在を知り(Attention)
・興味をもち(Interest )
・欲しいと思うようになり(Desire)
・記憶して(Memory)
・最終的に購買行動に至る(Action)
という一連の購買決定プロセスを分解して考える方法です。
AISASは、
・その製品の存在を知り(Attention)
・興味をもち(Interest )
・検索をし(Search)
・購買行動に至り(Action)
・SNSなどでシェアをする(Share)
という一連の購買決定プロセスに加えて、ここ数年で出てきたSNSでの拡散までを分解して考える方法です。
次に、AIDAMAやAISASを、もう少し深堀して考えていきます。
まず、「製品や商品の存在を知ってもらう」必要があります。
この点をクリアするためには、一般的な事業であれば、広告が必要となります。広告にはウェブ広告や、チラシ、雑誌やテレビなどのメディア掲載などがありますが、最適な方法や金額は、事業内容や形態によって異なります。
飲食店などの店舗ビジネスの場合は、立地や看板なども、知ってもらうためのツールのひとつであると考えられます。
また、BtoBの営業であれば、リストを購入し電話営業をする方法や、経営者交流会などを活用する方法などもあります。
さらに、「興味を持ってもらい、購入してもらう」ためには、商品力が必要となります。
商品力を磨く方法として、例えば、競合と比較して、どのように違うのかをフレームワークに当てはめて考えていくと良いでしょう。よく使われるフレームワークとしては、3C分析、4P分析、SWOT分析などがあります。これらのフレームワークに落とし込んで考えてみると、漏れなく、ダブりなく検討することができ、よい検討ができるでしょう。
最後に、「SNSなどでシェア」をしてもらうためには、体験や商品に感動が必要となります。わざわざ口コミしたくなる商品力や価格、体験を提供しましょう。
SNSでのシェアを依頼するといった地道な活動も実施した方が良いでしょう。
「顧客・販路の開拓」は、開業時も、開業後も常に課題の上位にあがってくるものですが、どの企業も、必ずやらなければならないことですので、ぜひ、しっかりと取り組んでいただければと思います。
脱サラ起業で失敗してしまった場合の対策は?
脱サラをして、リスクを最小限にして事業を行っていても、どうしても失敗してしまうケースはありえます。
そこで、そのような場合にとれる対策は大きくわけると、以下の3つの方法です。
・残りの資金に多少余裕があり、立て直す自信がある場合:追加融資を受ける
・残りの資金に多少余裕があるが、今後の売上を作る自信がない場合:事業を畳む
・残りの資金に余裕がない場合:事業を畳む
残りの資金に多少余裕があり、立て直す自信がある場合:追加融資を受ける
この場合は金融機関等に追加の融資を相談・依頼すると言う方法が考えられます。
例えば開業の際の融資が、日本政策金融公庫だった場合、次に考えられるのは制度融資です。制度融資は保証協会の保証をつけて借りる制度であり、一般的な融資に比べて比較的借りやすいと言えます。追加融資を検討する場合にも、以下の記事も参考になるでしょう。
【税理士監修】個人や個人事業主が、資金調達する7つの方法と知っておきたいポイント
事業を立て直す自信があったとしても、追加融資を受けたほうがいいのか、それとも事業を畳んでしまったほうがいいかについては、状況によって変わってくると思いますので、弁護士や税理士、会計士などの士業等の専門家へ相談し、客観的な視点からアドバイスを受けると良いでしょう。
残りの資金に多少余裕があるが、今後の売上を作る自信がない場合:事業を畳む
この場合は、できるだけ早期に事業を畳むと良いでしょう。残債をどう返済するのか?残債の返済方法について、リスケジュールを金融機関に相談するという方法も考えられます。
また、併せて、副業や、企業への就職も検討すると良いでしょう。
残りの資金に余裕がない場合:事業を畳む
残りの資金に余裕がない場合は、早めに事業を畳むと言う決断をする必要があります。
開業時に事業資金の借り入れをしている場合、金融機関への残債などがあるほか、取引先への支払い、従業員への給与の支払等、多くの支払があるハズです。まずは、これらについて債権者一覧表などを作成し整理をしましょう。
また、併せて弁護士等の専門家に相談する必要があります。人を雇用している場合は、解雇や雇用保険社会保険の手続きも必要です。
保有している財産があれば処分し、その上で、法人の清算や、税務申告、銀行口座の解約等の各種手続きを行う必要があります。
このような清算手続きについても費用が必要になりますので、この観点からも、できるだけ早期に決断をすることが、早期の再起に繋がります。
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脱サラ起業で成功しやすい業種は?
脱サラに限らず、開業後、ある程度まで事業を伸ばしやすい種類の事業があります。
それは、コンサルティング、制作受託、人材事業、SES、広告代理などのいわゆるスモールビジネスです。
これらの職種の共通点は、在庫を持たないことです。在庫がないため、損益分岐点も低く、比較的、事業リスクが低いことから、成功しやすい職種であるといえるでしょう。
スモールビジネスと聞くと、ネガティブに捉えてしまう方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、株式上場を目指し、Jカーブを描くことを想定しているようなスタートアップ企業も、プラットフォーム事業と併せて、スモールビジネスを行っている場合も多く、堅実な事業であるといえます。
また、サラリーマン時代などに経験をした職種の場合、当該事業における肌感があるため、一定以上の成功確率があると言えるでしょう。
ただし、この際に、前職時代の取引先のリストなどが使えるとおっしゃる方が、たまにいらっしゃいますが、その行為は、前職の営業秘密である取引先リストを使った違法行為になる可能性が高いため(不正競争防止法 第21条1項1号~9号:10年以下の懲役または2000万円以下の罰金あるいは併科)、注意が必要です。
一方で、難易度が高いのは、飲食店などの店舗ビジネスや、農業等の肌感のないビジネスです。脱サラ後にやりたい職業としては、人気の職種ですが、比較的、難易度の高いビジネスです。
飲食店などの店舗ビジネスは、店舗の造作や、不動産の家賃など固定費、食材などの仕入れコストなどが重くなるうえに、集客も必要となる業種です。
農業や漁業なども、脱サラしてやりたい職業として人気ですが、自然を相手にする事業であることから、不可抗力的事象や、本人の健康問題が大きく影響するほか、生産に加え、販売先の確保など、やらなければならないことが、とても多くなり、さらに、農業の知識等、新たに習得すべきことが多くあることから、事前の綿密な計画がなければ、失敗しやすい業種であると言えるでしょう。
脱サラして起業する際に使える補助金や助成金は?
起業時には、たくさんのコストがかかるため、補助金や助成金なども併せて活用しておくことがおすすめです。
例えば、経済産業省系の補助金には、ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、事業承継・引継ぎ補助金などがあります。これらの補助金の中には、起業時や、起業後まもないタイミングでも活用できる補助金もあるため、確認しておくと良いでしょう。
また、東京都内に主たる事務所をおいて起業する場合は、創業助成金、若手・女性リーダー応援プログラム助成事業なども活用できる可能性があります。
補助金や助成金については、以下の記事が参考になるでしょう。
【税理士監修】起業・創業時に使える補助金や助成金による資金調達
まとめ┃【税理士監修】脱サラとは?失敗せずに、起業するには何をするべきかのポイント解説
ここまで、脱サラ起業について、統計資料なども踏まえて、ご説明させていただきました。
起業には、リスクがついてきますし、大変な思いもたくさんあると思います。しかし、起業という方法は、自分の好きな仕事ができ、人生で最も多くの時間を割く、働くことの価値を、自ら高めることができる最強の手段のひとつです。
また、雇用を生み、事業を通した社会貢献が可能な点も、起業の大きな魅力です。
リスクをヘッジする方法は、以前に比べて、増えています。重くなりがちな家賃についてはシェアオフィスを活用したり、人の問題については、業務委託社員を活用するなど、さまざまな方法がありますので、ぜひ、綿密に計画を立てて、事業を成功させていただきたいと思います。
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで固定費を下げられるシェアオフィスで起業を支援
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この記事の執筆者
unite株式会社/株式会社Brand Communication/株式会社Ageless 代表取締役 角田 行紀
起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。
この記事の監修者
若尾房市税理士事務所 代表 若尾房市
中小企業の成長促進剤@MBA税理士
税理士、MBA(経営学修士)、GCS認定コーチ
手探り経営に悩む中小企業社長に対して、 管理会計(未来を創造する戦略的会計)とコーチング(欲しい未来を手に入れる思考のサポート)を活用して、ときには視界を照らすヘッドライトとして、ときには視界をクリアにするワイパーとして、社長がその想い実現に向かって最高速度で突っ走るお手伝いをしています。
モットーは「お金が増えなければ節税ではない」
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