【税理士監修】起業の将来は?自営業者の年収はどれくらい?中央値や平均値、手取り額は?
2024年10月15日
※こちらの記事は長谷工コミュニティが運営するビステーションのプロモーションを含みます。
これから起業しようという方は、将来どのくらい稼げるのか?が気になると思います。もちろん、年商や年収は事業によっても、人によっても変わりますが、この記事では、国税庁の資料を参考に、中央値や平均値、年商と年収の関係などを解説します。
そもそも自営業とは?
自営業という言葉は、さまざまに使われていますが、一般的には、個人で行う事業を指します。
また、デジタル大辞泉によれば、
「個人事業主による事業。独立して、自分の力で経営する事業。「—者」」とされています。
そこで、この記事内では、自営業=個人事業主として読み替えて、解説します。
自営業(個人事業)はいつから始めている?起業は、何歳くらいでする人が多い?
起業は何歳くらいでしている方が多いのでしょうか?
引用:2023年度新規開業実態調査┃日本政策金融公庫総合研究所
日本政策金融公庫総合研究所が調査・公表している「2023年度新規開業実態調査」によれば、自営業者(個人事業主)に限定したデータではありませんが、30代~40代で起業する方が多いことがわかります。
具体的には、開業時の年齢は「40歳代」の割合が37.8%と最も高く、次いで「30歳代」が30.1%となっており、平均年齢は、2023年のデータでは43.7歳となっています。
これは、起業する前に、ある程度、企業内で実績を積んでから起業をするという方が多いということに関係していると言えます。
これを裏付けるデータとして、起業前の職業についてのデータでは、開業直前の職業は「正社員・正職員(管理職)」の割合が40.0%と最も高く、次いで「正社員・正職員(管理職以外)」が30.9%であるというデータがあります。
つまり、ある程度、企業内でさまざまな経験を積み、準備をしてから起業をする方が多いため、起業時の年齢は、概ね、30代~40代が多くなると言えるでしょう。
自営業(個人事業主)の年収と、手取り、所得と売上などの違いは?
個人事業主の収入について、正確にいえば「年収」という言葉は、あまり馴染みません。
正しい言葉でいえば、「所得」「事業収入(売上高)」の2種類の考え方があるからです。
個人事業主において
「所得」とは、収入から必要経費を引いた金額を指します。
「事業収入(売上高)」は、事業によって得られた収入=売上高を指します。
まず、個人事業主の年収を、サラリーマンのような給与所得者に置き換えて考えてみましょう。
例えば、サラリーマンが住宅ローンやクレジットカード等の申し込み書に記載する金額は「年収」です。この年収は、1月1日から12月31日までの1年間に、会社から支払われた総支給額のことを指し、年収は社会保険料や税金が天引きされる前の金額を指します。
では、個人事業主が、住宅ローンやクレジットカード等の申し込み書に記載する金額はなにかというと「所得」になります。
この前提で考えると、個人事業主において、年収とは、所得を指すことになります。
※以下、この記事においては、個人事業主の年収=所得として、表現します。
また、個人事業主の手取りは、次のような計算方法で計算します。
まず、顧客などから、商品やサービスの対価としてもらうお金が、「事業収入(売上)」になります。そして、この「事業収入(売上)」から事業にかかる経費を差し引いた金額が、「所得」になります。
さらに、個人事業主の場合、確定申告等をすることになりますので、税金(所得税、住民税、個人事業税、消費税)と保険料(国民年金保険料、国民健康保険料、介護保険料)を差し引いた金額が、手取り額となります。
従って個人事業主の手取りは
「個人事業主の手取り=売上ー経費ー税金ー社会保険料」という式で計算できるということになります。
自営業(個人事業主)の年収の平均値や中央値は?どのように分布している?
上述のとおり、自営業(個人事業主)の年収=「所得」と考えられます。
自営業者(個人事業主)の年収=所得の平均値と中央値は、次のとおりです。
事業所得平均=約472万円
中央値=261万円
国税庁が調査・公表をしている、所得者区分別の平均所得金額及び平均税額の累年比較によれば、令和4年の事業者所得は約472万円であることがわかります。
引用:(第22表)所得者区分別の平均所得金額及び平均税額の累年比較
また、事業所得者の所得で、最も多いのは、300万円超400万円以下となっています。
また、所得の分布についても、下記の表をご確認くださいませ。
引用:第2表 所得種類別表
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで個人事業主の作業場所にもピッタリのシェアオフィス
月額5500円~使えるコワーキングスペースも┃長谷工コミュニティ運営
自営業(個人事業主)の年収300万円、400万円、500万円、1000万円の場合の手取りは?
次に、自営業者の年収別の手取り額を一覧表にしておりますので、ご確認ください。
だいたいのところで言えば、個人事業主については、所得の60~70%が手取りになると考えておけば良いでしょう。
※上記、一覧表のシミュレーションは2024年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
※確定申告における青色申告と白色申告についての補足
確定申告には、白色申告と青色申告の2種類あるため、2種類の記載をしております。
青色申告と白色申告は、それぞれにメリットデメリットがあります。
白色申告は、手続きがシンプルで簡単なことがメリットです。(確定申告記入欄は収支内訳書に売上や経費を書けばよく、記帳も単式簿記で良い)
ただし、青色申告控除が使えず、赤字の繰り越しもできません。
青色申告の場合は手続きはやや大変になりますが、最大65万円の特別控除、固定資産の経費化(30万円未満)や、赤字の繰り越しもできます。
基本的には、やや手続きは大変になりますが、青色申告をした方がメリットが大きいと言えるでしょう。
もっとも最近では会計ソフトなどを使えば、複式簿記も、比較的簡単にできますので、白色申告にするメリットは少ないと言えるでしょう。
自営業で年収300万円(個人事業主:所得300万円)の場合の手取り額シミュレーション
自営業で年収300万円の場合の手取り額のシミュレーションは以下のとおりです。
※上記シミュレーションは204年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
自営業で年収400万円(個人事業主:所得400万円)の場合の手取り額シミュレーション
自営業で年収400万円の場合の手取り額のシミュレーションは以下のとおりです。
※上記シミュレーションは2024年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで個人事業主の作業場所にもピッタリのシェアオフィス
月額5500円~使えるコワーキングスペースも┃長谷工コミュニティ運営
自営業で年収500万円(個人事業主:所得500万円)の場合の手取り額シミュレーション
自営業で年収500万円の場合の手取り額のシミュレーションは以下のとおりです。
※上記シミュレーションは2024年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
自営業で年収600万円(個人事業主:所得600万円)の場合の手取り額シミュレーション
自営業で年収600万円の場合の手取り額のシミュレーションは以下のとおりです。
※上記シミュレーションは2024年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
自営業で年収700万円(個人事業主:所得700万円)の場合の手取り額シミュレーション
自営業で年収700万円の場合の手取り額のシミュレーションは以下のとおりです。
※上記シミュレーションは2024年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
自営業で年収800万円(個人事業主:所得800万円)の場合の手取り額シミュレーション
自営業で年収800万円の場合の手取り額のシミュレーションは以下のとおりです。
※上記シミュレーションは2024年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
自営業で年収900万円(個人事業主:所得900万円)の場合の手取り額シミュレーション
自営業で年収900万円の場合の手取り額のシミュレーションは以下のとおりです。
※上記シミュレーションは2024年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで個人事業主の作業場所にもピッタリのシェアオフィス
月額5500円~使えるコワーキングスペースも┃長谷工コミュニティ運営
自営業で年収1000万円(個人事業主:所得1000万円)の場合の手取り額シミュレーション
自営業で年収1000万円の場合の手取り額のシミュレーションは以下のとおりです。
※上記シミュレーションは2024年10月時点の制度をもとに計算しています。
※所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わります。そこで、ここでは、全てのケースで東京都港区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)という条件で試算しています。
※住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得として試算しています。
※個人事業税は5%と仮定しています。
※消費税は反映していません。(業種によって経費率の差が大きいため)
※課税事業者となった場合には、上記表に加え、消費税の申告・納付が必要です。
まとめ┃起業の将来は?自営業者の年収の平均値や中央値、手取り額について解説
いかがでしたでしょうか?
この記事は、起業を検討している方に向けて、将来の収入のイメージをもっていただけるよう作成いたしました。
注釈を入れているとおり、具体的な金額については、ご本人の状況や、お住まいの地域によって変わりますし、消費税については別途計算していただく必要がありますが、具体的なイメージが湧くのではないかと思います。
繰り返しになりますが、所得の60%~70%が手取りになるイメージをしていただければOKです。
自営業(個人事業主)という働き方は、自由度が高く、やりたい仕事に集中することができる半面、収入面や仕事の相談をしづらいといったリスクもあります。
このような場合、同じ環境にいる自営業者同士の仲間を作ることで、仕事の相互紹介や相談先の確保ができるケースもあります。
仲間づくりをしたい場合には、個人でオフィスを賃貸するよりもシェアオフィスなどを活用すると仲間が作りやすくなりますので、検討してみると良いでしょう。
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで個人事業主の作業場所にもピッタリのシェアオフィス
月額5500円~使えるコワーキングスペースも┃長谷工コミュニティ運営
関連コラム
- 東京のバーチャルオフィス3選+1┃格安・大手など目的別ので比較と選び方
- 【税理士監修】バーチャルオフィスの料金相場と、最適なプランの選び方
- バーチャルオフィスとは?法人登記は可能か?創業融資は?社会保険や許認可は?メリット・デメリットは?
この記事の執筆者
unite株式会社/株式会社Brand Communication/株式会社Ageless 代表取締役 角田 行紀
起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。
この記事の監修者
若尾房市税理士事務所 代表 若尾房市
中小企業の成長促進剤@MBA税理士
税理士、MBA(経営学修士)、GCS認定コーチ
手探り経営に悩む中小企業社長に対して、 管理会計(未来を創造する戦略的会計)とコーチング(欲しい未来を手に入れる思考のサポート)を活用して、ときには視界を照らすヘッドライトとして、ときには視界をクリアにするワイパーとして、社長がその想い実現に向かって最高速度で突っ走るお手伝いをしています。
モットーは「お金が増えなければ節税ではない」
https://www.financial-office.jp/