税理士監修┃起業をしたいけどアイデアがない場合の、具体的なアイデアの出し方

2024年04月26日

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※こちらの記事は長谷工コミュニティが運営するビステーションのプロモーションを含みます。

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起業とは?

起業とは、広辞苑によれば、「新しく事業を起こすこと。」とされています。
さらに、同じく広辞苑によれば、事業とは、「(1)社会的な大きな仕事、(2)一定の目的と計画に基づいて経営する経済的活動」を指すようです。
つまり、起業とは、営利や社会的意義の達成などを目的とした経済活動を、新しくおこすことであると言えるでしょう。

近年は、起業の方法や、やり方は、多様化しています。
そこで、起業の種類(方法)についても、ご紹介させていただきます。

起業の種類(方法)とは?

社会の変化とともに、働き方は、大きく変わってきました。かつては、必ず会社に出社することが前提でしたが、現在は、自宅で勤務するケースも増えてきています。

起業の種類や方法も、現在は多様化しています。
たとえば、副業として、本業を持ちつつ起業をする方も増えています。
また、営利を目的としたものではなく、社会的な課題を解決するために起業をするというケースもあります。いわゆる社会起業家と呼ばれる方々です。

ただし、形態としては、次のいずれかの形式になります。
・法人として、事業を行う方法
・個人事業主として、事業を行う方法

いずれの形態を選択するかは、売上(節税)、初期コスト、責任、規模、社会的信用、関与人数などを基準に考えるとよいでしょう。

例えば、「売上」については、年間利益800万円程度を超えると、節税効果がありますので、法人形態を検討してみてもいいでしょう。
「初期コスト」ここでは、法人の設立コストを指しますが、法人の設立には、費用がかかります。例えば株式会社を設立するには、一般的に、収入印紙、定款の認証手数料、登録免許税などで、約20万円~25万円前後の費用が必要ですし、もう少し安く設立できる合同会社であっても約10万円前後の設立費用が必要となります。

また、法人の中でも、さまざま形態があり、最も一般的な株式会社などの営利法人のほかに、非営利法人という形態も存在します。非営利法人には、NPO法人、公益法人、社団法人、財団法人などが該当します。
また、起業とは、少し離れますが、法人の形態としては、公法人(公社、公団、公庫、金庫、公共組合、公共企業体など)という形態もあります。

起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:発想方法

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起業したいけれど、アイデアが思いつかないという方は少なくありません。
そこで、ここでは、いくつか起業のアイデアを考える発想方法をご紹介します。

一般的には、起業のアイデアの発想をする方法としては、ゼロから発想を考えるブレインストーミング法や、なにかの題材を基に細かく発想するSCAMPER法などが有名です。

ブレインストーミング法

ブレインストーミングは、集団発想法であると言われますが、1人でも有効です。
企業などで新規事業を構築する際にも、用いられています。
何らかのテーマを設定し、1人または複数人で、発想をしていくという方法です。
その際、アイデアの否定をしない、普段ならば発想しない奇抜なアイデアも許容する、質より量を重視する、最終的なアイデアをまとめるといった作法があります。

SCAMPER法

SCAMPER法は、それぞれの行為の頭文字をとった発想方法です。
ひとつのテーマに対して、深堀をしていく発想方法です。
例えば、競合のビジネスモデルなどを参考に以下の視点から発想をしていくという方法です。具体的には、以下の点から発想していきます。

Substitute:代用できないか?
Combine:組み合わせを変えられないか?
Adapt:他のものに適応できないか?
Modify:修正できる部分はないか?
Put to other uses:他のものに使えないか?
Eliminate:削減できる部分はないか?
Reverse,Rearrange:逆の組み合わせなどはかんがえられないか?

ほかにも、WHYを複数回繰り返して深堀していくという、なぜなぜ分析なども有名で、とりいれやすい発想法だと言えるでしょう。

また、発想法については、生成AIなどを活用していくという方法もあります。
ブレインストーミング法、SCAMPER法、なぜなぜ分析などを、生成AIに聞いていくという方法を実施していくことで、1人では、これまでに思いつかなかった発想が出てくる可能性があります。

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起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:スキル経験/人脈の棚卸

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起業をする際、多くの方が、自分の強みを活かして起業します。
そこで、これまでの自分の経験を棚卸してみるという方法があります。

スキル、経験の棚卸

いくつかの企業での勤務経験があるのであれば、どのような企業で、どのような仕事をし、どのような仕事をしているときに、楽しかったのか?また逆につまらなかったのか?などを検討してみても良いでしょう。
そこから、自分がどのようなことができ、サービスを作れるのかを発想してみてもよいでしょう。

人脈の棚卸

人脈は、大きな武器になります。どのような人と、どこで、どれくらい会っているか?を改めて整理してみると良いでしょう。
保有する人脈から、〇〇ができそうなどの発想を思いつくこともあるでしょう。

起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:n年後の市場を想定する

n年後など、将来の経済状況を想定して、そこから逆引きしていくという方法もあります。
実は、大手企業でも、この方法を採用している企業もあります。

例えば、長谷工グループは、「長谷工グループ長期ビジョン~2030年3月期に目指す姿~」というものを策定し、公表しています。
これは、2030年時点の市場環境や社会情勢の変化(少子化・高齢化、人口減少、都市のコンパクト化、災害、建築物の老朽化、環境配慮、省エネルギー)を前提とし、自社の企業理念、強みを生かし、どのような事業を行い、何に投資していくのか?をバックキャスティングし、数値計画を策定しています。

参考:長谷工グループ長期ビジョン ~2030年3月期に目指す姿~

起業をする際にも、この方法は有用です。
n年後の日本経済や世界経済は〇〇〇になると想定したときに、必ず現在の経済状況や事業状況との隔たりが発生します。その隔たりを埋めるための事業を発想することで、ニーズをとらえやすくなるでしょう。

n年後の経済状況を想定する方法としては、書籍やインターネットの情報などもありますし、人口動態などの政府が発表している各種統計も手がかりになります。

事業にとって大切なもののひとつに、時流にあっているか否かというものがありますが、この方法であれば、時流にあった事業アイデアを考えることができるでしょう。

起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:国内の他社事例の収集

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ゼロから、事業を考えるよりも、他社の事業やビジネスモデルを見て、そこから発想をした方が新しいアイデアを思いつきやすいということもあるでしょう。

他社の情報を仕入れるには、以下のような方法があります。

①国内の新規上場銘柄を調査する
②国内の大企業のIR情報を調査する
③書籍などで紹介されている他社のビジネスモデルを調査する

①国内の新規上場銘柄を調査する

国内の新規上場銘柄に名を連ねる会社は、比較的新しいビジネスモデルであるケースが多いです。そこから学べることは多分にあるでしょう。
具体的には、取引所グループのウェブサイトから、どのような会社が上場しているかを確認することができます。

取引所グループ:新規上場会社情報

②国内の大企業のIR情報を調査する

上場した企業は、投資家に向けてIR情報を提供します。このIR情報の中には、その会社が市場を、どのように捉え、どう戦っていくのかといった戦略が記載されているケースがあり、とても参考になります。

③書籍などで紹介されている他社のビジネスモデルを調査する

書籍には、ビジネスモデルを図解したものや、業界を深堀したものなどさまざまなものがありますので、書籍から情報を仕入れ、分析してみるというのも良い方法であるといえるでしょう。

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起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:海外の他社事例の収集

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海外の事例調査方法も、基本的には国内と同様です。
外国語の表示になっているかもしれませんが、翻訳サイトや翻訳アプリなどを使えば、さほどストレスなく調査することができるでしょう。

①海外の新規上場銘柄を調査する
②海外の大企業のIR情報を調査する
③書籍などで紹介されている海外のビジネスモデルを調査する

①海外の新規上場銘柄を調査する

例えば、NASDAQの新規上場銘柄を調査したい場合は、NASDAQのウェブサイトで調査することができます。

NASDAQ:IPOカレンダー

②海外の大企業のIR情報を調査する

海外企業であっても、上場した企業は、投資家に向けてIR情報を提供します。このIR情報の中には、その会社が市場を、どのように捉え、どう戦っていくのかといった戦略が記載されているケースがあり、とても参考になります。

③書籍などで紹介されている海外のビジネスモデルを調査する

書籍には、海外のビジネスモデルに特化して紹介しているものもありますので、書籍を検索してみても良いでしょう。

起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:他者からの目を頼る

「ジョハリの窓」をご存じでしょうか?
ジョハリの窓は、心理学でいう自己分析の方法で、4つの窓に分けられ、他人は知らないけど自分が知っている自分、自分は知らないけど他人は知っている自分、他人も自分も知っている自分、自分も他人も知らない自分にわけられるというものです。

つまり、自分は認知していないけれど、他者は認知しているあなたの強みなどがありえます。そこで、友人や知人に、自分の強みなどをヒアリングしてみると良いでしょう。
一緒に働く同僚からは、仕事に直結したアイデアを貰える可能性もあります。
ぜひ、積極的に相談してみましょう。ただし、同僚に相談する場合は、退職を考えていることが明らかになってしまうというリスクもあることはご留意いただいた方がよいでしょう。

起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:先輩起業家に相談する

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既に起業している人は、アイデアはあるけれど実行していないビジネスアイデアを持っているケースがあります。
例えば、自社事業のドメインではないけれど、面白そうなビジネスモデルであったり、リソースが足りなくて、実施していないビジネスモデルだったり、やらない理由は様々ですが、アイデア自体は、意外とあるものです。

相談ができる経営者がいるのであれば、相談してみるのも良いでしょう。

起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:スモールM&A

少し、本論とは離れますが、最近はスモールM&Aという小規模のM&A案件も増えています。
スモールM&Aは、何らかの要因で、売上が低迷していたり、跡継ぎがいなかったり、事業戦略の見直しなどを背景として、事業自体を売却するものです。
そこで、自身の持つスキルや経験と、売却案件として売り出されている事業をかけ合わせて事業アイデアを考えるという方法が考えられます。
うまくいけば、既に顧客基盤を持っている事業を買収することができ、売買の金額もケースによっては、数百万円レベルのものもありますし、銀行融資との組み合わせも場合によっては検討できるケースがあります。

良い事業が見つかれば、ゼロから作るよりも手軽にスタートができる可能性もあることから視野に入れてみても良いかもしれません。

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起業のアイデアが思いつかない場合の起業アイデアの出し方:公的機関や専門家への相談

商工会議所や、中小機構、日本政策金融公庫、東京開業ワンストップセンターなどの公的機関では、経営やビジネスアイデアについての相談ができるケースがあります。
また、セミナーなども適宜開催している可能性があるので、最寄りの各機関に相談してみても良いでしょう。多くの場合、無料で利用が可能です。

より、早く相談をしたい場合には、起業をサポートしている専門士業などに相談するという方法もあります。
起業サポートをしている士業は、多くの顧客からの相談を受けた経験があることから、たくさんのナレッジを保有しています。
また、その後の手続きなどもサポートしてくれる可能性が高いので、選択肢のひとつとして、考えてみても良いでしょう。費用は基本的に有料ですが、紹介がある場合は無料になるケースなどもあるようです。

起業のアイデアを思いついたら、やっておきたいこと┃壁打ちやアンケートの実施

ここまでの方法などで、起業のアイデアが出てきたら、次にやっていただきたいことは、それを見える化することです。

はじめは、ビジネスモデルの全体像を、ピクトグラムなどで図にする程度でOKです。
また、登場人物にとって、どのようなメリットがあるのか、競合他社とどう違うのかなどを、まとめておきましょう。
この作業自体は、かなりわくわくする作業になると思います。

そして、できあがったら、その図を用いて、知人や友人に相談してみてください。
相談する場合は、良い、悪いの基準のみでなく、仮にお金を払うならば、お金を払うか、いくらなら払えるのか?などのように踏み込んで相談すると良いでしょう。
良い・悪いの判断は、かなり曖昧です。一方、お金を出す・出さないの判断は、とてもシビアになるため、本心に近い回答を得ることができます。

この壁打ちやアンケートの実施をしているかいないかは、起業後に、事業が上手くいくか行かないかに大きく影響する可能性がありますので、ぜひ、取り組んでみていただきたいです。

また、壁打ちやアンケートで得られたフィードバックは、この後に作成する事業計画にも反映させていきましょう。そうすることで、より成功確率の高い起業ができるようになるでしょう。

まとめ┃起業したいけれどアイディアがない場合の具体的なアイディアの出し方

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いかがでしたでしょうか?起業のアイデアが出てこない場合の発想方法から事例収集方法など、さまざまなケースをご紹介してまいりました。
それぞれの方法で発想することもあれば、いくつかの方法を組み合わせて考えてみても良いと思いますので、ぜひ、取り入れてみてください。
アイデアが出てきた後、失敗をしたくないならば、ぜひ、壁打ちやアンケートまで実施してみてください。
アイデアを盗まれることを怖がる方もいらっしゃるかと思いますが、アイデアを盗んで事業まで行われてしまう可能性は、あまり高くはないと思います。アイデアを盗用されるリスクと、壁打ちやアンケートを実施しないで、独りよがりな事業になってしまうリスクを天秤にかけた場合、独りよがりな事業になってしまうリスクをヘッジした方が、いいのではないかと思います。

 

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この記事の執筆者

unite株式会社代表取締役 角田 行紀

起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。

https://www.unitenco.com/
https://cqree-holdings.jp/service/

この記事の監修者

若尾房市税理士事務所 代表 若尾房市

中小企業の成長促進剤@MBA税理士
税理士、MBA(経営学修士)、GCS認定コーチ

手探り経営に悩む中小企業社長に対して、 管理会計(未来を創造する戦略的会計)とコーチング(欲しい未来を手に入れる思考のサポート)を活用して、ときには視界を照らすヘッドライトとして、ときには視界をクリアにするワイパーとして、社長がその想い実現に向かって最高速度で突っ走るお手伝いをしています。

モットーは「お金が増えなければ節税ではない」
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